研究では施設東側の地形がたわんでいるのに着目し、地下に活断層が隠れていると指摘。海域の大陸棚外縁断層とつながっている疑いも強く、その場合、マグニチュード(M)8級の地震が起こる恐れがあるとしている。
渡辺満久東洋大教授、鈴木康弘名古屋大教授、中田高広島工業大教授が、五月二十八日に学会で発表した。
原子力関連施設の耐震指針が一昨年に改定され、活断層が厳しく再定義されたことを受け、原燃は昨年までに人工地震を起こして地質構造を探査する最新技術などを駆使し、あらためて周辺の断層を調べた。結論は「施設の半径五キロ以内に活断層はない」だった。
一方、新指針は、たわみなどの広域的な地形判定を重視するように求めたのも特徴。鈴木教授は「局所ではなく、広く地形を見るのは活断層を見つける際の基本だが、なぜか旧指針では軽視されていた」と指摘する。
研究グループが活断層の存在を訴えるのは、最新装置による探査とは対照的に、地形を見るという〝人の目〟からだ。鈴木教授は「装置でも見落としはある。新指針で重視すべき広域地形が活断層の存在を示す以上、あると考えて対応すべきだ」と主張する。
新指針では活断層を「十二万―十三万年前以降の活動を否定できない断層」と定義しているが、渡辺教授は「地層からも、原燃の探査データからも、施設直下の断層は十二万年前以降に活動している」とする。
大陸棚外縁断層については、研究グループが「活断層の疑いが強い」との見方を示しているのに対し、県は過去二度にわたって専門家に検討させ「活断層ではない」との結論を出している。新指針に照らした原燃の再調査も、活断層ではないとした。
見解が分かれる二つの〝活断層〟の存在。最終的な決着は国によって図られそうだ。
原燃の調査結果は現在、国の審議会が妥当性を評価している最中。審議会と、それに続く原子力安全委員会の議論の中で、原燃の調査と渡辺教授らの研究結果は同じテーブルに上るとみられる。
同じ敷地内で計画が進むプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料加工工場の安全審査の過程で検討される可能性もあり、国が教授らの主張を認めれば、核燃料サイクル施設の耐震安全性は見直しを迫られる。
参照:デイリー東北新聞社





